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2014/10/14

三重県の唐人おどりと朝鮮通信使

2014年10月11日付けの産経新聞に、朝鮮通信使に絡んだ気になる記事を発見した。

「『花子とアン』出演の・・・以下略」と題されたその記事は、女優の高梨臨が三重県津市で開かれる恒例の「津まつり」にゲスト出演するというだけのつまらないヒマネタだ。

ただ気になったのは、「津まつり」の出し物のひとつである「唐人おどり」について"朝鮮通信使に影響を受けた"と書かれていることで、こりゃまた随分と怪しい説を堂々と書いたものだと呆れてしまう。

そもそも三重県津市の「唐人おどり」は「朝鮮通信使を起源とする」とか「朝鮮通信使を真似た」などとメディアで紹介されることも多いが、これは完全な間違いである。

津市の唐人おどりの起源は、スペイン人やポルトガル人の衣装を真似たコスプレ行列だったのだ。唐人おどりの衣装を地元では「ロッペ」と呼ぶが、これは「服」を表すポルトガル語「roupa」もしくはスペイン語「ropas」から来ていることは明白で、「通信使起源説」を否定する有力な証拠となっている。

詳しくは:http://www.searchnavi.com/~hp/tojin/roppe.htm

しかし、当初は南蛮風だったそのコスプレ行列も、時代が下るにつれて大陸風の幟や打楽器などが加わるようになり、何だかよくわからない独特の踊りも生まれて、現在の形になったというのが真相であるらしい。

確かに、大陸風の小道具や不思議な踊りが加わる過程で、朝鮮通信使の影響を受けた可能性はあるが、そうであるという確定的証拠は存在せず、「琉球使節」に影響を受けた可能性や「長崎の唐人屋敷」での見聞が影響している可能性も否定できない。

また、そもそもの話として「何かの影響で生まれた」という前提を疑ってみる必要はないだろうか。あの他に類例を見ないユニークな踊りが、地元の人々によって創作された完全なオリジナルである可能性を否定することは、現段階では誰にもできないのだ。

それらを考え合わせると、信憑性に乏しく異説も多い「○○の影響」といった部分は排除して、西洋人の衣装を真似たコスプレ行列が起源であるとだけ解説するのが適切だろう。

まして「朝鮮通信使の影響を受けた」などと断定するのはデタラメと言われても仕方があるまい。

ソース:http://www.sankei.com/region/news/141010/rgn1410100028-n1.html

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